「自分にしかできない仕事」の大間違い
「自分だけの仕事」を「みんなができる仕事」に トヨタ式で早く帰る④
トヨタは「みんなの力」を信じる
そして中には「自分にしかできない」という思い込みの強さから仕事を抱え込み、長時間残業に追い込まれる人もいます。ある企業の経営者は課長になったばかりの頃、責任感からかあまり仕事を抱え込み過ぎてどうすればいいか分からなくなったことがあると言います。
その時、上司に言われたのは「肩の荷は分かち合うものだよ」の一言でした。謙虚になって周囲を見渡せば、いろいろな能力を持った上司や先輩、同僚や部下たちがいます。にもかかわらず、「自分にしかこれはできない」と思い込み、自分一人ですべてを引き受け、弱音は吐けないと気負っていましたが、以来、この問題はあの人に相談してみよう、こっちの問題は彼に頼んでみようと考えるようになりました。
トヨタ式には「1人の100歩より100人が1歩ずつ」とか、「3人寄れば文殊の知恵」といった「みんなの知恵、みんなの力」を信じる言葉がたくさんあります。どんな専門家でも、どんなスタープレーヤーでも、1人で敵陣突破することはできません。みんなの知恵や力を借りれば、足取りはぐっと軽くなり、周囲の人たちと一緒になって前に進むことができるようになるのです。
トヨタ式に「時は命なり」という言い方がありますが、みんなに平等に与えられ、誰にとっても限られたものである時間は「命」と同じと考え、自分の時間はもちろんのこと、会社の仲間やお客さま、そしてみんなの時間をムダにせず、大切にしたいものです。